2022 日本ダービー 振り返り

初めに

今年のダービーは素晴らしいレースでした。ペース面もしかり、決着タイムもハイレベル。またあのペースで上がり33秒台をしっかり出す馬がいるのが驚きです。

まず取り上げるのは皐月賞組のレベルの高さ。

皐月賞 中山最終週

12.6 - 11.0 - 11.6 - 12.2 - 12.8 - 12.3 - 12.3 - 12.0 - 11.4 - 11.5 1.59.7

青葉賞 府中2週目

12.7 - 11.3 - 11.5 - 11.5 - 11.9 - 12.3 - 12.7 - 12.4 - 12.4 - 11.7 - 11.9 - 11.9 2.24.2

京都新聞杯 中京初週

12.5 - 10.9 - 10.6 - 12.1 - 12.1 - 12.1 - 11.8 - 11.8 - 11.8 - 11.7 - 12.1 2.09.5

競馬場がすべて違うので一概には言えないのですが、平均ラップが最後2Fでこの上りはかなり抜けているように思えます。まず、別路線組はここを巻き返さなくてはいけないのが厳しいところですね。

 

今回の馬場と展開

馬場はそれなりにタイムが出る馬場。むらさき賞で1.45.4ということでかなり早い決着が予想された。向こう正面~3コーナーは内がまだ持っていて、4コーナー~直線にかけては外に出した馬が伸びるような芝の状態。

2022東京優駿ラップタイム

12.5 - 10.8 - 11.8 - 12.0 - 11.8 - 11.7 - 12.3 - 12.0 - 11.8 - 11.5 - 11.7 - 12.0

12.5 - 23.3 - 35.1 - 47.1 - 58.9 - 70.6 - 82.9 - 94.9 - 106.7 - 118.2 - 129.9 - 141.9

昨年のレースレコードをいきなり更新してしまった。デシエルトがしっかりと逃げペースを作った影響もあり前に言った馬にとってはなかなか息を入れるタイミングがない展開。騎手の上手さもあるが、後方待機できたドウデュース・イクイノックスにはうれしい流れになった。これだけラップが前半から早くなると、上りはなかなか出にくいことが多いが、上2頭は上りタイム33秒台でまとめている。はっきり言って強い。

 

各馬回顧

1着 ドウデュース

この馬は皐月で作りこんできていた印象があったので、そこでダービーにはどのような状態で出てくるのかが気がかりであった。その心配は杞憂に終わる程の出来で出てきており、正直友道厩舎に恐怖すら感じた。あのパドック見せられたら逆らえない。

レースに関しては後方に徹した騎乗。豊が序盤から控える形を取ってじっくりと脚を溜め、4コーナーから進出。直線は鬼の71完歩右手前で走り切った。皐月賞の回顧でも書いたのだが、この馬は結構右手前で走り切るような癖があるみたいで、今回もコーナーで手前を変えてからそのまま走り切り。直線の豊もうまくて、馬がヨレそうになる部分をきっちりと矯正して走っていた。

秋の目標は凱旋門賞。距離的にはギリギリ許容範囲内なのかとは思うが、洋芝適正の有無と、右回りに変わることは少しばかり疑問が残る。ただ、ハイレベル3歳世代のダービー馬が久々に凱旋門に挑戦ということで、頑張ってほしい。

 

2着 イクイノックス

序盤は大外枠が響いたこともあって後方待機を選択。これがはまった形ではあった物の、やはり、ダービーの外枠は戦術が限られてきてしまうこともあって難しいなといった印象。

道中はノープレッシャーで進められたの良い流れだったけど、悲しかったのは4コーナー。キラーアビリティが少し外に膨れながら走っていたため内を選択したら今度は内によって来てしまい、ごちゃついてしまった。ここがスムーズであったらどうなっていたかは分からない。

直線は流石はルメール。内に行ってしまったものの、外に誘導することで進路を確保し、ドウデュースに併せるような形で伸びてきた。この進路探し、ルメールの恐ろしいまでの冷静さには脱帽。この馬は手前については直線でも2回変えており、まんべんなく使えていることからどちらの回りも使える印象がある。

馬体的にはまだ奥行きがある(らしい)。この強さでまだ奥行きがあるのかと驚きを隠せない。夏を越した姿を早く見ていきたいところ。距離に関しては2400mは守備範囲内。阪神3000mは素質の高さで走れる可能性あり。府中2000m、2400mは言わずもがな。

 

3着 アスクビクターモア

デシエルトを行かせて、先行集団につける。4コーナーで早めにデシエルトを捲っていき抜け出しを図るも、上位2頭の切れ味に負けての3着。自身の持つ持久力の高さをいかんなく発揮した。騎乗としては2019のロジャーバローズに似た騎乗で、年が違えばダービー馬。ポテンシャルの高さを感じた。

今回は問題なく2400mをこなしたものの、直線は外にもたれながら走っていることからもやはり少し長いのかなとは思った。セントライトで買いたい枠だけど、人気は免れない。

 

4着 ダノンベルーガ

この馬は1週前の追い切り時計の高さなど、完ぺきな過程を見せてくれた。しかしながら仕上がりすぎた馬は、いったんスイッチが入ってしまうとテンションが上がってしまい、レースで完全に集中できない。実際に発汗も激しく、レース前から割引の材料が多かった。

ゲートは出ることが出来、中団に付けていく。川田らしいポジションを取っていく騎乗。しかしながら外には更にポジションを取る福永騎乗のジオグリフがおり、4コーナーまで常にプレッシャーをかけ続けられ、非常に苦しい展開に。この時点で後ろで脚を溜めている2とは全く過程が異なっている。

直線も非常に苦しいポジションとなるも、ここの川田死ぬほどうまい。ジャスティンパレスのミルコが右手に鞭を持つのを見て、外に進路を確保。ここ本当にうまい。しかし発汗など、レースで100%を出せなかった影響か、直線ではヨレを見せて3着馬を差し切るには至らなかった。

しかし、このレースからもやはり左回りに対してのポテンシャルは感じる。菊は出ないだろうが、秋の府中の重賞では主役級の活躍をしてくれるであろう1頭。

 

5着 プラダリア

唯一の青葉賞組の掲示板。前目4列目につけ道中は回ってきて、直線は少し内に入ってしまったものの、大きな不利はなくといった形。やはり青葉賞組は上位勢とのレベルの差は感じたものの、自身も時計をかなり縮めており、成長によっては秋の競馬では主役級の活躍をしてもおかしくはない。

 

6着 キラーアビリティ

皐月からは一応巻き返しての6着なのか。まだ結果としては物足りないものがある。競馬の内容はドウデュースの進路を使って伸びてきた競馬なので、強く印象に残る部分は少なかった。しかし控えさせる、差しの競馬を経験できたことは、気性面に問題がある中での一種の成長点かと。実際に外枠も厳しかった。武史もやれることはやった。

調子としてはホープフルの方が良く、夏の休養によってどの程度立て直してこられるのか、厩舎力が試される。

 

7着 ジオグリフ

ゲートを出てすぐに川田をマークしている辺り、福永のポジション取りの上手さを感じる。内容はダノンベルーガを抑えながら自身はいい位置を通していく実に福永らしい騎乗ではあったが、この走破時計の出る良馬場府中競馬場は合わなかった印象がある。あと、状態面においても皐月の方が良かったかなと思う。1コーナーの辺りで少し引っかかる面を見せている。

やはりイメージは府中はそこまであっていない。外が使え、バイアスゲームに持ち込めそうなレースがあっていて、喉の影響も相まって距離の問題が付きまとう。

 

8着 オニャンコポン

道中は内で脚を溜めることはできたものの、なかなか直線ではいい進路を見つけることが出来ず。しかし、上位勢と比較すると現状の力は足りていない印象があり。最終的にもキラーアビリティと脚が同じになってしまう結果となった。この馬も府中よりも中山とかの小回りタイプ?セントライトで見たい。

 

9着 ジャスティンパレス

今日の体形はギリギリ。レース展開はそこまでパッとするものがなく、力負けの9着。兄弟にアイアンバローズがいるように、長距離で再び見てみたい枠。この時にミルコと手があっているかと思うと少し疑問。ポジション意識高い騎手の方がこういう馬は上手く乗りそう。

 

12着 アスクワイルドモア

府中が合いそうな血統ではないような。ズブズブのレースに強そうなイメージあり。長距離は合うのかもしれない。ディープボンド的なローテが見てみたい。

 

15着 デシエルト

ハイレベルなレースを作った張本人。ありがとう。外枠からの発走、距離と厳しい点が多かった。ただ逃げの力はあるので展開が向きそうなレースはいくつも考えられる。ぱっと思いつくのは中日新聞杯

 

17着 マテンロウオリオン

流石に距離が長い。秋は短距離~マイル路線で改めて。

 

18着 ピースオブエイト

この馬にとっても距離が長いうえに、直線で斜行してきたジャスティンパレスの影響で走るのをやめてしまった。マイル~中距離のG2G3といった感じか。